昨年7月にインデックス・コミュニケーションズ(創刊当時インデックス・マガジンズ)より創刊された「アニメーションRE」が、売上不振を理由に休刊することが明らかになった。「アニメ心を取り戻すトリビュートマガジン」というコンセプトのもと、新たなアニメファン層の取り込みを狙った同誌だったが、創刊からわずか3号という短命に終わった。
「アニメーションRE」は、2005年7月22日に創刊。アニメ、ゲームに興味を持つ10代後半〜20代のみならず、かつてのアニメ世代である30代〜40代前半や社会人層もターゲットに入れ、「アニメージュ」や「ニュータイプ」とは異なった切り口での特集記事や、付録として毎号特典映像を収めたDVDがついているなど、その新しい試みに業界の注目を集めていた。「アニメージュ」「ニュータイプ」という二大アニメ雑誌から外れた読者層の取り込みが期待されていたが、3〜4ヶ月に1回という不定期刊行や販売プロモーションの不十分さのためか、認知度はいまひとつの感も否めず、今回の休刊につながったものと思われる。
インデックス・コミュニケーションズは、マッド・ハウスを傘下にもち、タツノコプロダクションにも出資しているインデックスグループの一社であり、同誌を活用してのコンテンツ展開も期待されただけに、残念な結果となった。
「ニュータイプ」「アニメージュ」とは異なる観点からアニメ・ゲームを取り上げる雑誌には、このほかにも日経BP社の「日経キャラクターズ」が、ビジネス的観点から取り上げることで注目を集めているが、同誌は今年に入ってから隔月刊から、3ヶ月に1回の季刊に切り替えており、こちらも思ったほどの成果が上がっていないことがうかがい知れる。また、創刊号の表紙を民主党の鳩山由紀夫氏が飾ったことで話題を集めた、オタク系総合雑誌の「オタクエリート」も、創刊早々に出版元のビブロスが倒産し、事実上の休刊状態になっている。
昨年は「萌え」が流行語大賞に選ばれ、オタク文化が伸びている印象を受けているが、それとは裏腹に新たなコンセプトを打ち出したアニメ雑誌がうまくいっていないこの現状は、アニメファン人口がさほど変化していないということを表していると思われる。新たなアニメファンの取り込みを図ることが、今後のアニメ界において重要な課題といえるが、現状その取り組みがうまくいっていない以上、アニメ界は危機的状況にあると言えるかもしれない。
参考記事:「
アニメーションRE休刊へ(6/30)」(Anime! Anime! News)